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部活動の地域展開(地域移行)ガイドラインの要点|令和7年12月版

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  • 学校・教員
公開読了 17分

令和8年度から始まった改革実行期間の指針として、文部科学省は令和7年12月に部活動改革の新しいガイドラインを公表しました。

本記事では全体の構成、令和4年版から変わった点、地域クラブ活動の認定制度、学校部活動のルールを章ごとに整理し、立場別にまず読みたい章も紹介します。

地域展開(地域移行)を進める具体的な手順は、別の記事「部活動の地域展開の進め方」で解説しています。

【本記事における名称について】本記事では、文部科学省のガイドラインに基づく正式名称「地域展開」を基本として使用します。ただし、現場での認知度を考慮し、「地域展開(地域移行)」と旧称を併記します。

SECTION 01部活動の地域展開におけるガイドラインとは?

正式名称は「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン~子供たちのスポーツ・文化芸術活動の充実に向けて~」で、文部科学省が令和7年12月22日に本文を公表しました。

ガイドラインは、令和8年度から令和13年度までの6年間を「改革実行期間」と位置付け、その期間の部活動改革と地域クラブ活動の推進について、国としての基本的な考え方と具体的な取組方針を示す文書です。

各地方公共団体に対しては、このガイドラインに基づき、地域の実情を踏まえながら改革を進めるよう求めています。

対象は公立中学校等|一部は高校も

ガイドラインが主な対象とするのは、公立の中学校(義務教育学校の後期課程と中等教育学校の前期課程を含む)と特別支援学校中学部の生徒の活動です。

国立・私立の中学校や高等学校については、ガイドラインの内容も参考にしながら、学校の実情に応じて必要な取組を進めることが望ましいとされています。

ただし、「Ⅳ 学校部活動の在り方」だけは、国立・私立を含む中学校と高等学校の部活動全体が対象になっており、高校の部活動にも直接かかわります。

高校の部活動がいつから・どこまで対象になるのかは「高校の部活も地域展開(地域移行)の対象?」で詳しく解説しています。

本文6章と別冊資料2点の構成

ガイドラインは本文6章と別冊資料2点で構成されています。

本文の章には「第1章」のような番号ではなく、Ⅰ〜Ⅵのローマ数字が振られており、本記事でも原文に合わせてこの番号で示します。

各章の中身を整理すると、次の表のようになります。

章主な内容
Ⅰ 部活動改革の基本的な考え方・方向性改革の理念、「地域展開」「地域連携」の定義、改革実行期間と休日・平日の取組方針
Ⅱ 地域クラブ活動の在り方及び認定制度地域クラブ活動に期待される価値、認定制度の趣旨と要件
Ⅲ 地域展開の円滑な推進に当たっての対応国・都道府県・市区町村の役割分担、指導者や活動場所など六つの課題への対応
Ⅳ 学校部活動の在り方活動時間・休養日のルール、部活動指導員の配置、暴力・暴言・ハラスメント等の不適切行為の根絶
Ⅴ 大会・コンクールの在り方地域クラブ活動の大会参加、引率や運営の体制
Ⅵ 関連する制度の在り方教師等の兼職兼業、教師の人事、高校入試での扱い
別冊資料①地域クラブ活動の認定制度の詳細と「認定地域クラブ活動指導者」登録制度
別冊資料②策定の経緯、運営団体と実施主体の役割分担、事故が起きたときの賠償責任、関連する法律の規定

SECTION 02令和4年版から変わった主な点

新しいガイドラインの前身は、令和4年12月に策定された「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」です。

令和4年版は、令和5年度から令和7年度までの3年間を「改革推進期間」とし、まずは休日の地域の環境整備を着実に進め、地域の実情に応じて可能な限り早期の実現を目指すとしていました。

新しいガイドラインで大きく変わったのは、名称、期間と休日の目標、法律の後ろ盾の三つで、これに地域クラブ活動の認定制度が新たに加わりました。

認定制度は次の見出しで詳しく扱います。

名称が「地域移行」から「地域展開」に変更

ガイドラインは、生徒のスポーツ・文化芸術活動を学校部活動から地域クラブ活動に展開することを「地域展開」と呼び、従来の「地域移行」という名称はこの呼び方に改められています。

学校の中で運営してきた活動を地域に開いて地域全体で支えることと、地域の人や施設を生かして新たな価値を生み、より豊かで幅広い活動にすることという改革の理念を、より的確に表すための変更です。

地域展開(地域移行)をした後も、学校施設の活用や教師の兼職兼業、学校との情報共有などを通じて、学校は地域の一部として関わり続けることにも留意するよう書かれています。

あわせて、学校部活動に部活動指導員を配置したり、複数の学校で合同部活動を行ったりする取組は「地域連携」と定義されました。

「地域展開」と「地域連携」をまとめて指すときは「地域展開等」という言葉を使います。

休日は期限つきの目標になった

改革実行期間は令和8年度から令和13年度までの6年間で、令和10年度までを前期、令和11年度からを後期とし、前期の終わりに進み具合を確かめる中間評価を行います。

休日については、改革実行期間内に、原則としてすべての学校部活動で地域展開(地域移行)の実現を目指し、地域の実情に応じてできる限り前倒しで実現することが望ましいとしています。

まだ着手していない地方公共団体も前期の間に確実に休日の地域展開等に着手することとされ、中山間地域や離島など地域展開(地域移行)が難しい場合は、当面、部活動指導員の配置などを進めます。

令和4年版の「可能な限り早期」という表現に比べると、期限を区切った目標になった点が最も大きな違いといえるでしょう。

平日については、各種の課題を解決しながら更なる改革を進めるとし、まずは国が地方公共団体にとって実現可能な活動の在り方や課題への対応策を検証したうえで、中間評価の段階で改めて平日の取組方針を決める流れです。

あわせて、学校部活動をベースにした地域との連携や、学校施設を拠点にした地域クラブ活動など、地域の実情に応じた多様な改革を進めることが重要だとしています。

年度ごとの見通しは、別記事「部活動の地域展開はいつから?」で詳しく紹介しています。

法律に地域展開等の規定ができた

令和7年6月にはスポーツ基本法と給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)が改正され、部活動の地域展開等に関する規定が法律に設けられました。

スポーツ基本法第17条の2では、地方公共団体は、中学校の生徒が地域でスポーツに親しむ機会を確保するために必要な施策を講ずるよう努めなければならないとされ、国は地方公共団体に対し、助言や指導、経費の補助などの援助を行うよう努めると定められています。

給特法の改正法の附則第3条でも、政府が講ずる措置の一つとして「部活動の地域における展開等を円滑に進めるための財政的な援助を行うこと」が挙げられています。

ガイドラインに基づいて国が行う補助事業も、この二つの規定を根拠法令としています。

SECTION 03地域クラブ活動の在り方と認定制度

ガイドラインは、地域クラブ活動について、学校部活動が担ってきた教育的意義を受け継ぎ発展させながら、地域全体で支えることで新たな価値を生み出すことが重要だとしています。

新たな価値の例には、生徒のニーズに応じた多種多様な体験、学校の垣根を越えた仲間とのつながり、地域の幅広い世代との交流、適切な資質・能力を備えた指導者による良質な指導、学校段階にとらわれない引退のない継続的な活動などが並びます。

地域クラブ活動は競技性や成果だけに偏るものではなく、学校部活動と同じく生徒の自主的・自発的な参加によって行われるものであることも明記されています。

そのうえで新たに示されたのが、地域クラブ活動の認定制度です。

競技力向上を主な目的とするチームやスクールとの区別や質の担保のため、国が示す要件に基づいて市区町村等が地域クラブ活動を認定し、認定された活動を「認定地域クラブ活動」と呼びます。

認定の要件は、教育的意義の継承と幅広い活動機会の保障、適切な活動時間と休養日、可能な限り低廉な参加費、適切な指導体制、安全確保の体制、運営体制、学校等との連携の七つです。

認定を受けた活動には、市区町村等による生徒・保護者への情報提供、財政支援や学校施設の優先利用などの公的支援、教師等の兼職兼業の積極的な許可、大会・コンクールへの円滑な参加といった効果が想定されています。

認定の有効期間は最長3年の範囲内で市区町村等が定め、制度を円滑に始めるための経過措置は原則として令和8年度末までとされています。

認定されていない地域クラブ活動にも、中学生を対象とする活動としての質を保つため、認定要件に準じた活動を行うことが求められており、特に活動時間・休養日の設定や不適切行為の防止、安全確保の徹底を求めています。

指導者についても、市区町村等が定める研修を受講し登録された指導者を「認定地域クラブ活動指導者」と呼ぶ登録制度が示されました。

七つの要件の確認事項や申請から認定までの流れは「認定地域クラブ活動とは?部活動の地域展開の認定制度と7つの要件」、指導者の登録は「地域クラブの指導者になるには?資格・報酬・登録の流れ」で詳しく解説しています。

SECTION 04推進体制と六つの課題への対応

「Ⅲ 地域展開の円滑な推進に当たっての対応」は、本文34ページのうち15ページを占める、最も分量の多い章です。

推進体制、六つの課題への対応、生徒のニーズの反映の三つで構成されています。

国・都道府県・市区町村の役割分担

改革の責任主体は、中学校を設置する市区町村等です。

市区町村等は幅広い関係者の理解と協力のもと、平日・休日を通した活動を包括的に企画・調整し、地域の実情に応じた改革方針を決めたうえで地域クラブ活動の認定などを行います。

都道府県は広域自治体として改革のリーダーシップを発揮し、市区町村へのきめ細かな支援と広域的な基盤づくりを担い、国は全国的な方針を示して好事例の普及や地方公共団体への支援を行います。

地域クラブ活動の側では、各活動を統括して運営・管理の中核を担う「運営団体」と、個別の活動を行う「実施主体」に役割が分かれます。

体制づくりについては、教育、スポーツ、文化、福祉、まちづくり、財政などを担当する部署が一体となって取り組むことを求めています。

そのうえで、専門部署の設置や総括コーディネーターの配置、幅広い関係者による協議会の設置、推進計画の策定による改革方針やスケジュールの周知が挙げられています。

推進計画づくりから地域クラブ活動の開始までの手順は「部活動の地域展開の進め方」、コーディネーターの役割は「部活動の地域展開|コーディネーターの役割と配置の考え方」で紹介しています。

六つの課題と主な取組例

ガイドラインは、地域展開(地域移行)を進めるうえでの課題を六つに整理し、それぞれに基本的な考え方と具体的な取組の例を示しています。

主な内容を抜き出すと次のとおりです。

課題主な取組例
運営団体・実施主体の整備自治体による相談窓口などのサポート体制、法人格の取得、ICTによる運営業務の効率化
指導者の確保・育成人材バンクによる発掘とマッチング、教師等の兼職兼業の促進、研修による資質の保障
活動場所の確保学校施設の優先活用、スマートロックの導入などで休日に教職員が出勤しなくてよい仕組み
移動手段の確保スクールバスなど既存の送迎車両の活用、地域公共交通との連携
生徒の安全・安心の確保不適切行為の防止、事故が起きたときの責任の明確化、保険への加入の徹底
障害のある生徒の活動機会の確保障害者スポーツセンターや地域のパラスポーツ協会など、多様な関係者の参画

このうち活動場所については、学校施設を学校教育に支障のない限り地域クラブ活動で優先して活用できるようにすることが「極めて重要」と書かれています。

安全面で重要とされるのが、生徒と指導者の双方による、自身のけがを補償する保険や個人賠償責任保険への加入の徹底です。

六つの課題とは別に、生徒のニーズを反映することも重視されています。

アンケート調査などで生徒の希望を把握して活動に生かし、小学校高学年や中学生向けの体験会、中学校の入学説明会でのオリエンテーション、ポータルサイトなどを使って、地域クラブ活動の情報を生徒・保護者に分かりやすく届けることが取組の例に並んでいます。

保険の詳しい仕組みは「部活動の地域展開の保険ガイド|事故時の補償と兼職兼業教員の注意点」、指導者の確保は「部活動の地域展開|指導者の報酬相場と確保ルートを解説」をあわせてご覧ください。

国の補助と予算

国はこのガイドラインに基づく改革実行期間の取組を、補助金で支えています。

予算額は令和8年度が57億円、令和7年度の補正予算が82億円で、合わせて139億円です。

休日の地域クラブ活動の活動費(指導者謝金や事務局の人件費など)とコーディネーターの配置などの推進体制の整備は、国・都道府県・市区町村が3分の1ずつを負担します。

経済的に困窮する世帯の生徒の参加費・保険料への支援は、国が2分の1を補助します。

財源の組み立て方は「部活動の地域展開|財源確保の方法と自治体事例」で詳しく解説しています。

SECTION 05学校部活動の在り方|活動時間と休養日

「Ⅳ 学校部活動の在り方」は、地域展開(地域移行)が進むまでの休日の部活動や、地域の実情によって対応が分かれる平日の部活動の在り方を示す章で、国立・私立の中学校と高等学校も対象です。

活動時間と休養日について、ガイドラインは次の基準を示しています。

項目基準
休養日週2日以上
1日の活動時間長くとも平日は2時間程度、休日は3時間程度
週の活動時間11時間程度の範囲内
その他長期休業中に一定期間のオフシーズンを設ける

生徒が学校部活動と地域クラブ活動の両方に参加する場合は、参加する活動全体を通算して、週の活動時間を11時間程度の範囲内にする必要があります。

また、部活動はすべての生徒が一律に加入するものではなく、生徒の自主的・自発的な参加によって行われるものなので、生徒の意思に反して強制的に加入させないよう求めています。

指導体制については、部活動指導は教師以外が積極的に参画すべき業務だとし、部活動指導員を適切に配置することや、生徒数に応じて部活動の数を適正にすることを挙げています。

教師を顧問とする場合も、開始・終了時刻を繰り上げるなどして活動を勤務時間内に収め、負担が過度にならないよう十分に留意することとされています。

教員の負担の詳細は「部活動の地域展開で教員の負担はどう変わる?顧問の役割と選択肢」にまとめました。

SECTION 06大会・兼職兼業・高校入試の扱い

「Ⅴ 大会・コンクールの在り方」では、参加資格を学校単位に限らず、地域クラブ活動や複数校の合同チームの参加を更に進めるとしています。

平日の大会に地域クラブ活動から参加する生徒も、学校部活動から参加する場合と同じく学校を出席扱いにできることに留意するよう示され、地域クラブ活動の大会の引率は、原則として地域クラブ活動の指導者等が担います。

「Ⅵ 関連する制度の在り方」の兼職兼業では、教師等が希望すれば地域クラブ活動の指導者として活動できるよう、許可の手続きを円滑にすることを求めています。

特に認定地域クラブ活動は、学校運営に支障がない限り積極的に許可を行うこととされる一方で、指導を望んでいない教師が参加を強いられることがないよう十分に確認することも明記されています。

保護者の関心が高い高校入試については、学校部活動と地域クラブ活動で入試の扱いに差が出ないよう十分に留意することとされました。

部活動や地域クラブ活動に参加していないことや、途中でやめたこと、ほかの活動に移ったことだけを理由に不利に扱うのは適切でないとしています。

会費や送迎、大会の疑問は「部活動の地域展開(地域移行)保護者向けFAQ|会費・送迎・大会」にまとめています。

SECTION 07立場別|まず読みたい章

本文34ページと別冊資料を最初から順に読む時間がない場合は、自分の立場に近い章から開くと全体をつかみやすくなります。

本記事の整理として、立場ごとに最初に読みたい章と、あわせて読むと理解が進む部活のミライの記事は、次の表のとおりです。

立場まず読みたい章あわせて読みたい記事
自治体の担当者Ⅰ(方針)、Ⅱと別冊資料①(認定制度)、Ⅲ(推進体制と六つの課題)部活動の地域展開の進め方、認定地域クラブ活動とは、財源確保、コーディネーター
学校関係者Ⅳ(学校部活動の在り方)、Ⅵ(兼職兼業・高校入試)教員の負担はどう変わる?
保護者Ⅱの認定の効果、Ⅴ(大会)、Ⅵの高校入試保護者向けFAQ、月謝はいくらになる?
指導者・運営団体別冊資料①の別紙1(認定要件の確認事項)と別紙2(指導者登録制度)、Ⅲの安全・安心地域クラブの指導者になるには?、地域クラブ指導者の実践ガイド

章の振り分けは国が指定したものではないため、気になる項目があれば目次から該当する章を開いて原文を確かめてください。

SECTION 08まとめ|押さえたい三つの要点

令和7年12月のガイドラインは、令和8年度からの改革実行期間に向けた国の方針を、本文6章と別冊資料2点で示した文書です。

押さえておきたい要点を三つに絞ると、次のようになります。

  • 休日は改革実行期間内に原則すべての部活動で地域展開(地域移行)を目指し、平日は国の検証を経て中間評価で方針を決める
  • 地域クラブ活動は、国の要件に基づいて市区町村等が認定する仕組みになった
  • 学校部活動には、週2日以上の休養日と週11時間程度の活動時間などの基準が示されている

まずは自分の地域の推進計画を確かめ、具体的な進め方は「部活動の地域展開の進め方」で確認してください。

参考資料URL
  1. 部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン(令和7年12月)※別冊資料①②を含む(文部科学省, 2025.12)
  2. 部活動改革ポータルサイト
  3. 「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議」最終とりまとめ(2025.05)
  4. 部活動の地域展開等の全国的な実施(令和8年度予算)(スポーツ庁・文化庁)

関連ワード

  • 改革実行期間
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