お問い合わせ部活のミライ

部活動の地域展開|コーディネーターの役割と配置の考え方

  • 自治体
公開読了 17分

本記事では、コーディネーターの役割と職務範囲、配置人数、人材像、雇用形態と活用できる国の補助を、国の資料と先行自治体の事例をもとに整理します。

配置したあとに体制を見直した自治体の例もあわせて紹介します。

【本記事における名称について】本記事では、文部科学省のガイドラインに基づく正式名称「地域展開」を基本として使用します。ただし、現場での認知度を考慮し、「地域展開(地域移行)」と旧称を併記します。

SECTION 01コーディネーターが必要な理由|国が求める推進体制

従来の部活動では、指導から保護者対応、大会引率まで、顧問の教員が幅広い業務を担っており、窓口が1人に集約されていたため、学校内の調整はおおむねそこで完結していました。

地域展開(地域移行)では、活動の担い手が地方公共団体、運営団体、実施主体、学校、指導者へと分かれるため、この構造が変わります。

主体が増えれば、その間をつなぐ役割が必要になるため、国もこの調整役の配置を推進体制の柱として位置づけています。

文部科学省のガイドラインでは、地域の実情等に応じて、部活動改革に関する専門部署の設置や総括コーディネーターの配置等、適切な推進体制を整備することが重要とされています。

コーディネーターの配置は、一部の自治体の工夫ではなく、国が求める体制整備の一部として位置づけられているといえるでしょう。

国の実行会議の最終とりまとめでも、総括コーディネーターは、学校部活動の地域展開に関する課題の解決に向けた伴走支援や、地方公共団体と地域のスポーツ・文化芸術の関係団体等との橋渡しの役割等を担うものとされています。

SECTION 02コーディネーターの名称と役割

例えば、「総括コーディネーター」と「コーディネーター」は、名前は似ていても役割が異なります。上下関係のある職階というより、担う階層が違うものと整理できるでしょう。

呼称も自治体ごとに様々で、推進コーディネーター、エリアコーディネーターなどの例があり、法令で統一された名称ではない点は、庁内で説明する際に押さえておきたい前提となります。

スポーツ庁の事例集では、都道府県と市区町村それぞれの主な業務が次のように整理されています。

階層主な業務
都道府県のコーディネーター地域クラブ活動への移行に関する調査/課題整理/市区町村や関係団体等との連絡、協議/市区町村への訪問、助言/市区町村コーディネーターへの情報共有/指導者研修の実施/指導者の確保(人材バンクの設置)/大学や民間企業との連携/書類作成 など
市区町村のコーディネーター地域クラブ活動への移行に関する調査/課題整理/関係団体等との調整、協議/指導者の確保(人材バンクの活用)/指導者研修の実施/地域クラブ活動の会場の調整/保護者等への広報活動の実施/運営団体への指導助言/地域クラブ活動への巡回訪問 など
都道府県・市区町村コーディネーターの主な業務(スポーツ庁事例集に基づく)

主に都道府県は仕組みをつくる役割、市区町村は現場を動かす役割が中心と整理でき、このように要約しておくと庁内での説明がしやすくなります。

ただし事例集でも、各コーディネーターの役割は自治体の実態に応じて変わると注記されており、一覧はあくまで例となる点に注意が必要です。

なお「総括コーディネーター」は都道府県だけに置かれるものではありません。

例えば、新潟県魚沼市では運営団体である市教育委員会に総括コーディネーターが1人置かれ、長野県南佐久郡では6町村の広域連携の事務局として、佐久穂町教育委員会内に総括コーディネーターが置かれました。

市区町村や広域連携の側で全体を束ねる立場を「総括コーディネーター」と呼ぶ例は各地にあります。

ガイドブックでは、都道府県のコーディネーターや近隣市区町村のコーディネーターと定期的に情報交換することも有効とされています。

準備期・実践試行期・充実安定期で役割は変わる

コーディネーターの役割は取組の進み具合とともに変わるとガイドブックでも示されており、事例集ではこの変化が3つのステップで整理されています。

ステップ都道府県のコーディネーター市区町村のコーディネーター
ステップ1 準備期推進計画や方針決定の支援、実証事業の実施、関係団体等との調整、会議体の設置、域内の各自治体の実態把握、担当者との連絡会議の開催関係団体等との調整、会議体の設置、子供たちへのアンケート調査の実施、地域クラブ活動の認定制度の構築
ステップ2 実践・試行期移行の進捗把握、各市区町村を訪問して助言、広域の人材バンクの設置・運用指導者の確保や研修、各活動の会場調整、保護者等への広報活動
ステップ3 充実・安定期域内の大学や民間企業との連携体制の構築アプリ導入などの運営業務支援、指導者資格取得の促進、巡回訪問によるガバナンスの強化
取組の段階ごとのコーディネーターの役割(スポーツ庁事例集に基づく)

準備期に必要だった会議体の運営は実践期になれば比重が下がるため、最初に決めた職務内容を固定しないことが大切です。

実践期以降は指導者の確保と現場の実態把握が中心になるため、職務内容書は年度ごとに見直す前提で作成しておきます。

SECTION 03職務範囲と権限をどう決めるか|庁内に残す判断の線引き

コーディネーターの業務は、想像より広い範囲に及びます。

茨城県神栖市では、コーディネーターが地域クラブ活動の説明会や指導者研修会を行うほか、指導者からの各種問い合わせや地域クラブ活動備品の発注、鍵等を含む物品の連絡窓口、活動日程の調整、怪我の初期連絡、保険加入、指導者謝金の管理など、幅広い業務を担ったと報告されています。

備品の発注や鍵の受け渡し窓口まで含まれる点は、制度設計の相談役という響きとは異なり、日々の実務が積み上がる仕事であることを示しています。

長崎県長与町でも、コーディネーターは指導者や保護者へのヒアリング、指導者研修会や大会参加に関する連絡調整、地域住民への情報発信、関係者との定例ミーティングの開催などを継続的に担ってきました。

一度きりの調整ではなく、継続して発生する業務が多いことが分かります。

全部を1人に寄せない|支援機能を分ける考え方

業務が広いからこそ、担い手を分ける設計が必要になります。

ガイドブックでは、各運営団体や実施主体間の調整等を担うためには十分な従事時間が必要であり、様々な分掌業務を有する地方公共団体の職員では対応が難しい場合は、専任のコーディネーターを配置したり、マネジメント経験のある地域団体や民間企業等に委託したりすることも有効とされています。

そのうえで、支援機能を四つに分けて担い手を変える例が示されました。

機能担い手の例
調整機能コーディネーター
人材育成機能大学
運営支援機能民間事業者
評価改善機能地方公共団体担当者
支援機能と担い手の例(創設・運営ガイドブックに基づく)

このうちコーディネーターが担う連絡・調整機能の中身は、連絡体制の整備、活動場所の調整とスケジュール共有、役割分担の明確化、協働のルール整備、保護者等からの相談の受付などとされています。

研修も会計も安全管理もすべて1人に載せる設計にはなっておらず、複数人で分担している自治体もあります。

福井県あわら市では、市のスポーツ課内に部活動地域移行推進室を設置してコーディネーターを配置し、指導者の労務管理、指導者研修会の企画・開催、学校や部活動顧問やクラブ指導者との調整、体育館の使用割り振り業務などを分担しました。

担当者は「4人のコーディネーターを中心に週1回の打ち合わせを行い、指導者の実態や心配事等も踏まえながら、安全管理やコーチングの基本など、子供たちが安心して活動できるような内容を企画しています」と説明しています。

分担すること自体が目的ではなく、定例の場で情報をそろえるところまでを含めて設計されています。

職務内容書に書く「求める力」

ガイドブックでは、支援機能を担う人材に求める能力・スキルの例として、関係者との調整力、ヒアリング・対話力、課題整理力、プロジェクトマネジメント力、安全・契約・会計等の知識が挙げられています。

職務内容書の要件欄は、この五つを出発点にすると書き出しやすくなります。

権限は配置前に文書で決める

もう一つ決めておきたいのが判断の線引きで、ガイドブックでは、地方公共団体、運営団体、実施主体、学校、指導者とコーディネーターの連携方法や役割分担を整理し、定めておくことが重要とされています。

どこまでをコーディネーターに委ね、どこからを庁内の判断として残すのか、この線引きが曖昧なままだと、学校との調整の場で最終判断者が不在になりかねません。

会場使用の可否、指導者の登録の可否、保護者からの苦情への回答といった場面ごとに、誰が決めるのかを配置前に書き分けておきます。

なお、最終的な決裁を誰が持つかは各自治体の内部規程によります。決裁区分そのものは国の資料に示されていないため、自団体の規程に沿って整理する必要があります。

認定制度の「指導体制」の要件にも効く|巡回指導という役割

コーディネーターの巡回は、見回り以上の意味を持つ場合があります。

地域クラブ活動の認定制度では、認定要件の一つ「適切な指導の実施体制が確保されていること」の確認事項として、原則として複数の指導人材が活動に携わることが求められています。

そのうえで、複数の指導人材が活動に携わることが困難な場合には、市区町村等の職員・コーディネーターや運営団体の職員等による地域クラブ活動の実施主体への巡回指導を適切に実施すること等により、事故防止や暴力・暴言・ハラスメント等の不適切行為の防止を図ることが示されています。

つまりコーディネーターの巡回は、指導者を十分に集められない地域にとって、認定要件を満たすための手立てになり得ると考えられます。

実際に、市区町村コーディネーターの主な業務にも「地域クラブ活動への巡回訪問」が挙げられており、福井県あわら市ではコーディネーターが現地を月に1回程度訪問し、生徒の活動の様子や指導者の指導の実態を確認しています。

長崎県長与町でも、コーディネーターによる定期的な学校訪問や、クラブ・行政との会議が実施されてきました。

指導者不足に悩む小規模な自治体ほど、この位置づけを押さえておく意味があり、巡回に必要な時間を職務内容にあらかじめ組み込んでおくことで、認定の場面での確認にも対応しやすくなります。

SECTION 04何人配置すればいい?先行自治体に見る配置パターン

まず前提として全国一律の正解はなく、ガイドブックでも、地域の実情に応じて人数や配置方法を工夫するため様々なパターンが考えられるとされています。示されている配置の例は、次の三つです。

  • 1名を配置し、広域的かつ網羅的に取組を実施する
  • 中学校区やエリアごとに複数名を配置する
  • インクルーシブな取組や多世代連携、種目等、目的に応じて複数名を配置する

この三つを軸に、先行自治体がどのような体制を組んだかを人口の小さい順に並べました。自団体に規模の近い行から読むと、判断の材料にしやすくなります。

自治体規模配置体制何のために置いたか
長野県南佐久郡(6町村)人口21,625人/公立中学校4校佐久穂町教育委員会内に総括コーディネーター(兼事務局)を設置6町村が負担金を出し合う広域連携の運営を1か所に集約する
新潟県魚沼市人口32,816人/公立中学校5校運営団体である市教育委員会に総括コーディネーター1人、実施主体側にコーディネーター11人8種目11の地域クラブ活動を統括管理し、各クラブの代表者と連携する
長野県松本市人口234,740人/公立中学校19校「まつチャレサポートデスク」と連携するコーディネーターを配置多様な運営団体が立ち上がる環境で、指導者紹介と活動状況の把握を担う
福井県福井市人口253,803人/公立中学校23校教育委員会に総括コーディネーターとエリアコーディネーターを配置(エリアは東部・西部・南部・北部の4区分)総括は他市町や競技団体との連絡調整、エリアは学校を拠点に実施主体との連絡調整
群馬県人口1,884,891人/公立中学校154校総括コーディネーター1人とコーディネーター5人県内全35市町村を訪問し、進捗と課題に応じた伴走支援を行う
岐阜県人口1,929,224人/公立中学校176校県総括コーディネーター1人、県推進コーディネーター6名(県内6地区)、市区町村コーディネーターの3階層各市町村の細部にわたる状況を把握する
千葉県人口6,269,264人/公立中学校388校本庁にプレフコーディネーター1名、教育事務所5か所にエリアコーディネーター5名広域の人材バンク「ちばクラサポ」の運営・管理と、市町村との連絡調整
先行自治体のコーディネーター配置パターン(人口の小さい順)

岐阜県は、いきなりこの体制になったわけではありません。

令和4年度に専門部署「部活動改革係」を3人体制で設置し、令和5年度に1人増員したうえで県内6地区に推進コーディネーターを配置、令和6年度に総括コーディネーターを置くという順序を踏んでおり、段階的に増やしていく進め方も選択肢の一つです。

専任を置く以外の選択肢

専任を1人雇う体力がないという自治体もあり、その場合の道は少なくとも二つあります。

一つは職員が兼務する形で、長野県南佐久郡では、実証事業の申請段階で南牧村教育委員会の指導主事がコーディネーターを担当しました。

もう一つは広域で分け合う形で、同じ南佐久郡では6町村が負担金を拠出し、事務局機能を佐久穂町教育委員会に集約しました。人口2万人規模でも成立した体制です。

目的を絞って複数置く方法もあり、新潟県長岡市や静岡県掛川市では種目別のコーディネーターを配置し、種目ごとの活動エリアの調整や関係競技団体との連絡調整、指導者への助言・指導などに取り組んでいます。

各種目の関係者とつながりのある人材を充てることで、その種目の裾野の拡大や指導者ネットワークの構築につながるとされています。

SECTION 05誰に頼む?コーディネーターの人材像と先行自治体の人選

ガイドブックでは、コーディネーターは元教師や総合型地域スポーツクラブの役職員、スポーツ協会役職員、民間事業者等、地方公共団体によって多様な人材が配置されているとされています。

そのうえで、地域における幅広いネットワークをもち、関係者をつなぎ調整する能力に長けていることが求められると示されました。

岐阜県は役割ごとに人材を使い分けた

岐阜県では、学校とのやりとりが多い各地区の推進コーディネーターに、退職教員が充てられました。

担当者は「学校側とのやりとりも多く発生する各地区のコーディネーターについては、退職教員に依頼しました。各地区の勤務経験があるため、地域の実情に応じた支援をすることができました」と説明しています。

一方、総括コーディネーターの人選は異なります。

担当者は「総括コーディネーターには、クラブ運営や経営に長けた人材を任用しました。県独自の認定要件を定めることや、運営団体の賠償責任保険制度に関することなどのアドバイスを受けています。また、全国の様々な取組情報を教育委員会に共有いただくことで、係員の情報のアップデートにも寄与しています」と述べています。

ここから読み取れるのは、退職教員が万能という話ではないということです。

学校との調整が多い役割には学校の内側を知る人材が向き、制度設計や保険、認定要件の助言を求めるのであれば、クラブ運営や経営の経験者が適しています。

先に「何を担ってほしいか」を決めてから人を探す順序が、この事例の要点です。

群馬県は実績のある人材に直接打診した

群馬県では令和5年度、地域クラブ活動への移行にあたり専門性の高い人材の採用を計画し、県内で初めて総合型地域スポーツクラブを立ち上げた実績を持ち、地域展開(地域移行)に初期段階から携わっていた人材へ協力を打診しています。

その後に置かれたコーディネーター5人の属性は、校長経験者、大学教員、地域団体関係者などです。

適任像については「部活動に精通しているだけではなく、地域のスポーツ関係団体とのつながりやスポーツに関する幅広い知見のある方が適任であると思います。また、自治体の伴走支援については、実際に顔を合わせ、各自治体の担当者と信頼関係を築くことを大切にしています」と説明されました。

配置の効果としては「指導主事の担当は、部活動の地域クラブ活動への移行に関する業務だけではないため、専門のコーディネーターがいることで、きめ細やかでスピード感のある対応ができるようになりました」という声が挙げられています。

人選と勤務条件はセットで考える

一方で群馬県では、コーディネーターによっては本務が別にあるため、業務を依頼する際には調整が必要になるという課題も挙げられています。

本務を持つ人材に協力してもらう形は、専門性の高い人材に届きやすい反面、稼働の確保が課題になります。誰に頼むかを決める際は、どれくらいの時間を割いてもらえるかを同時に詰めておきます。

SECTION 06どう雇う?採用までの流れ・雇用形態・使える国の補助

採用から配置までの流れ

ガイドブックでは、採用から配置までの流れが五つの段階で示されています。

  • 1. 役割・配置方針の整理(求める業務や人数、採用形態の検討)
  • 2. 人材の選定(域内外における業務を担う人材候補者の選定)
  • 3. 意向や適性の確認(人材候補者との面談や本人の意向確認)
  • 4. 待遇の調整(雇用形態や給与等の雇用契約の調整)
  • 5. 雇用契約の締結(合意した内容に対する契約締結)

最初の段階が「役割・配置方針の整理」である点に意味があります。

ガイドブックでも、コーディネーターに求められる役割を理解し、どの人材にどの役割を担ってもらうかを整理したうえで、関係部署と協議しながら人材の選定や配置を進めることが重要とされており、人を先に決めてから仕事を当てはめる順序ではありません。

なお、直接雇用だけが選択肢ではなく、職員での対応が難しい場合は、マネジメント経験のある地域団体や民間企業等に委託することも有効とされています。

雇用形態は有償が9割超

待遇の調整では、報酬が必ず論点になります。

ガイドブックによると、コーディネーターの雇用形態は地域によって様々であり、スポーツ庁の実証事業に取り組む地方公共団体に配置されているコーディネーターのうち、92%が有償で従事しています(令和7年12月時点)。

内訳は有償が92%、無償が8%で回答数は170、有償の場合の形態としては常勤、委嘱、業務委託、アルバイト・パートなどが挙げられ、無償はボランティアなどです。

予算措置を伴う前提で検討を始めるのが現実的です。

金額は公表されていない。だから財源の枠組みで詰める

一方で、時給や月額といった具体的な報酬額は国の公表資料には示されていないため、近隣自治体の水準を個別に確認する必要があります。

ただし、財源の枠組みは資料で確認できます。

令和8年度予算「部活動の地域展開等の全国的な実施」では、「部活動の地域展開・地域クラブ活動の推進」に必要な経費を地方公共団体に補助する仕組みが置かれ、その補助メニューの一つ「推進体制の整備等」の対象経費に、コーディネーターの配置が明記されています。

同じメニューには、人材バンクの設置・運用、指導者研修、移動手段確保なども含まれます。

補助割合は、国が3分の1、都道府県が3分の1、市区町村が3分の1です。都道府県または指定都市が実施主体となる場合は、国が3分の1、都道府県・指定都市が3分の2となります。

予算規模も示されており、令和8年度予算額は57億円で、前年度予算額の37億円から増えました。

あわせて令和7年度補正予算額として82億円が計上されており、「推進体制の整備等」はこの補正予算に計上されたメニューです。

金額そのものは書けなくとも、この枠組みは予算要求の資料にそのまま使えます。

なお、申請の手続きや締切は予算資料には記載がないため、実際に要求する際は国が示す最新の要領を確認する必要があります。

勤務条件の決め方を実例で補う

金額の代わりに、勤務の実態が参考になります。

群馬県の総括コーディネーターは週3、4日、県庁へ勤務しており、その結果、教育委員会健康体育課の担当者や関係者と、きめ細やかな情報共有ができていると報告されました。

週に何日、どこで働いてもらうかは、情報共有の密度に直結する条件です。

勤務条件を丁寧に聞き取る進め方は、コーディネーター自身が指導者に対して行う場面でも成果を上げています。

愛知県春日井市では、総括コーディネーターと教育委員会が任用面談において勤務条件や配置希望等を丁寧にヒアリングし、指導者の意向を反映した配置を実現しました。

SECTION 07配置して終わりにしない|体制を見直した自治体の実例

配置は出発点であって、到達点ではありません。

ガイドブックでも、地域クラブ活動の開始後もコーディネーターを継続配置し、配置先や関係者間の連携体制を適宜見直しながら活動の改善を進め、持続可能性を確保することが求められています。

体制の見直しに向き合った例を四つ紹介します。

負担が1人に集中した|長野県南佐久郡

南佐久郡では、総括コーディネーターが地域クラブ活動の運営、指導者との連携、謝金の支払い、移動手段の手配、学校との調整を一手に担ってきました。

広域連携の要として機能した一方で、継続的に広域連携型クラブの運営を維持するためには、指導者やコーディネーターを含む運営スタッフの安定的な確保が不可欠であり、複数町村をまたいだ業務分担や調整には時間や人材的負担が大きいため、継続的な支援体制づくりが求められるという課題も報告されています。

対応の方向としては、事務局業務の集約、システムの導入、指導者人材バンクの整備といった運営の効率化が検討されています。

運営団体へ機能を移した|茨城県神栖市・長崎県長与町

神栖市では試行期にコーディネーターが幅広い業務を担いましたが、令和7年度からは運営団体である総合型地域スポーツクラブの運営スタッフの業務へ統合し、コーディネーターは配置していません。

長与町も同じ道をたどり、令和7年度からコーディネーターの業務を運営団体の運営スタッフへ統合しています。

あわせて運営支援アプリを導入して業務の一部をオンライン化し、令和6年度からはフルタイム職員に代えてパートタイム職員3人体制へ移行して運営経費を節減しました。

運営スタッフの主な業務には、指導者の労務管理、謝金支払い、会場や会計の管理、大会参加費のとりまとめなどが含まれます。

ここで注意したいのは、この二例が「コーディネーターは要らなかった」という話ではないことです。調整という機能そのものは残り、担い手が行政側から運営団体側へ移りました。

支援の窓口を縮小した|長野県松本市

松本市では、多様な運営団体を支えるために「まつチャレサポートデスク」を設置し、コーディネーターと連携する体制が組まれました。

コーディネーターは、登録された指導者を各地域クラブ活動へ紹介する役割などを担っています。

立ち上げ期には問い合わせが集中しました。

担当者は「多い時期で月28件程度の問い合わせがありました。令和6年度当初の地域クラブ活動の創設段階では、規約の作成や指導者の確保に関する相談が多く寄せられたため、土日にも対応可能なコールセンターを設置しました。しかし、令和6年度末には問い合わせも落ち着いたことから、令和7年3月末をもってコールセンターを閉鎖し、以降は問い合わせフォームによる対応に一本化しました」と振り返っています。

松本市では課題として、中間支援機能の在り方についても地域の実態に応じて柔軟に見直していくことが重要とも挙げられました。

需要のピークに合わせて広げ、落ち着いたら縮小するという、支援体制を固定的に考えない姿勢が見て取れます。

見直しを前提に設計する

四つの例に共通するのは、業務量と担い手の負担を見ながら体制を調整し続けている点です。配置して終わりにせず、年度ごとに次の三点を点検する運用が有効です。

  • 1. 業務が特定の1人に集中していないか
  • 2. 担い手を行政・運営団体・民間事業者のどこに置くのが自然か
  • 3. 立ち上げ期に広げた支援を、そのまま抱え続けていないか

SECTION 08まとめ|コーディネーター配置で最初に決める三つのこと

コーディネーターは、学校・地域クラブ・指導者・保護者・行政をつなぐ調整役です。検討に着手する際は、次の三点から整理することが出発点となります。

  • 1. 配置パターン:人口・中学校数・クラブ数から、広域1名型か、エリア分割型か、目的別型か、広域連携や職員兼務かを選ぶ
  • 2. 候補人材:担ってほしい業務を先に決め、退職教員かクラブ運営経験者かなどを逆算する
  • 3. 職務範囲と権限:委ねる業務と庁内に残す判断を、配置前に文書で書き分ける

報酬額は公表資料にありませんが、有償が9割を超えること、配置経費が国の補助対象であることは確認できます。

予算要求の際は、補助割合とあわせて最新の国の資料を確認してください。

SECTION 09参考資料URL

本記事の情報基準日:2026年9月16日

関連ワード

  • 地域移行
  • 地域展開
  • コーディネーター
  • 総括コーディネーター
  • 推進体制
  • 職務内容書
  • 支援機能
  • 巡回指導
  • 認定地域クラブ活動
  • 配置パターン
  • 広域連携
  • 退職教員
  • 総合型地域スポーツクラブ
  • 雇用形態
  • 推進体制の整備等
  • 岐阜県
  • 群馬県
  • 南佐久郡
  • 松本市