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【独自調査】部活動の地域展開|改革実行期間の現状の進捗

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令和8年度を迎え、部活動の地域展開(地域移行)は新たな局面に入りました。

進捗が他自治体と比べて遅れていないか、次に何から手をつけるべきか。検討されている自治体のご担当者に向けて、全国データと編集部の独自調査をもとに整理しました。

【本記事における名称について】本記事では、文部科学省のガイドラインに基づく正式名称「地域展開」を基本として使用します。ただし、現場での認知度を考慮し、「地域展開(地域移行)」と旧称を併記します。

部活動の地域展開(地域移行)の制度そのものや改革の背景から知りたい方は、まず以下の記事をご覧ください。

SECTION 01令和8年度は改革実行期間スタートの年

文部科学省は、令和8年度から令和13年度までの6年間を新たに「改革実行期間」と位置付けました。

前半の令和8年度から令和10年度を「前期」、後半の令和11年度から令和13年度を「後期」とし、前期の終了時には中間評価を行うことになっています。

これまで進められてきた改革推進期間での成果や課題を踏まえ、全国的な実施をさらに加速させる方針です。この新たな期間の幕開けに伴い、大きな変化が生じています。

それは、従来の呼び方から「地域展開(地域移行)」への名称変更です。単に活動の場を学校から地域へ移すという意味ではありません。

学校内の資源を広く地域に開き、地域全体で子供たちの活動を支えるというコンセプトが込められています。

学校教育の質の向上や、教師の働き方改革にも十分配慮しながら進めることが必要です。自治体の担当者には、現状に適した望ましいあり方を見出すことが求められます。

出典:スポーツ庁・文化庁「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」(令和7年12月)

改革実行期間では、自治体が具体的にどのような流れで取り組めばよいのかも重要になります。実務の流れについては、以下の記事をご覧ください。

SECTION 02【最新データ】普及率と進捗状況から見る全国の現状

なお、以下に示す数字のうち、令和7年度までは実績値、令和8年度と令和9年度は自治体が「予定」として回答した見通し値です。

いずれも全国の平均値であり、地域の人口規模や指導者の充足状況によって自治体ごとの差が大きい点にご留意ください。

重要なのは全国平均との比較ではなく、地域の資源と課題に即した進捗を確認することです。

休日における地域展開の最新実績と今年度の見通し

休日の部活動のうち、地域連携または地域展開を行っているのは、令和7年度の実績で29.1%です(部活動数ベース)。

内訳は、地域展開が17.5%(22,357部)、地域連携が11.6%(14,819部)です。

改革実行期間の初年度にあたる令和8年度は、これが39.6%(地域展開27.8%・地域連携11.8%)まで進む予定となっています。

市区町村を単位に見ると、休日の地域展開に取り組む市区町村は、令和7年度の実績で55.5%(967市区町村)でした。

令和8年度は68.8%(1,198市区町村)、令和9年度は76.6%(1,333市区町村)まで増える見込みです。

地域連携も含めれば、令和7年度の時点ですでに82.0%(1,427市区町村)が休日に何らかの取組を始めています。

地域クラブ活動の導入や、学校間での合同部活動の展開など、多様な方法で受け皿づくりが進んでいる状況です。

国の方針では、休日については改革実行期間内に原則として全ての学校部活動で地域展開の実現を目指すとされており、各自治体においても段階的な体制整備が引き続き期待されています。

地域連携は「通過点」になりつつある

このデータで注目したいのは、地域展開と地域連携の増減が逆を向き始めている点です。

休日の地域展開に取り組む市区町村は、令和5年度25.7%、令和6年度41.0%、令和7年度55.5%と伸びてきました。

令和8年度は68.8%、令和9年度は76.6%と、さらに増える見通しです。

一方の地域連携は、令和5年度45.1%、令和6年度51.1%、令和7年度53.7%と増えてきましたが、令和8年度は50.0%、令和9年度は43.8%へと減少に転じる見通しです。

つまり、合同部活動や部活動指導員の配置で対応してきた自治体が、地域クラブ活動へと切り替え始めているということです。

地域連携を当面の着地点と位置づけている自治体にとっては、それが最終形ではなく地域展開に至る前段階として扱われている、という国の整理を確認しておく必要があります。

平日における地域展開の現状と課題

一方で、平日は令和7年度の実績で15.9%にとどまります。

内訳は、地域展開が4.7%(6,040部)、地域連携が11.2%(14,279部)です。

令和8年度は21.3%(地域展開9.7%・地域連携11.6%)まで進む予定ですが、同じ年度の休日39.6%とは大きな開きがあります。

市区町村を単位に見ても、平日の地域展開に取り組むのは令和7年度の実績で28.8%(502市区町村)で、休日の55.5%のおよそ半分です。

平日の地域展開(地域移行)に関しては、指導者の確保や放課後の移動手段など、休日以上に多くの課題が存在するためです。

そのため国は、平日については「各種課題を解決しつつ更なる改革を推進」とするにとどめ、まずは国において実現可能な活動のあり方や課題への対応策の検証を行うと整理しています。

前期の検証を踏まえ、中間評価の段階で改めて取組方針を策定するとされています。

国が平日を検証段階と位置付けていることを踏まえると、まずは休日の体制整備を優先しつつ、平日に向けた課題を整理していくことが、多くの自治体にとって現実的な進め方の一つといえます。

出典:スポーツ庁・文化庁「部活動改革の取組状況に関する調査(令和8年度)」(令和8年8月公表)/調査期間:2026年4月22日〜5月22日/調査対象:全ての都道府県、市区町村等/部活動数の母数は128,000部(スポーツ100,000部、文化芸術28,000部)として算出

SECTION 03【独自調査】12自治体に聞いた進捗と課題の実像

ここまでの全国データは部活動数と市区町村数をベースにした平均値ですが、実際に参考となるのは自治体個々の進捗状況ではないでしょうか。

そこで編集部では、部活動の地域展開(地域移行)を担当する自治体の部署に向けて独自のアンケート調査を実施しました。

この調査の前提

項目内容
調査名部活動の地域展開に関する自治体の実態調査
実施主体部活のミライ編集部
調査時期2026年8月(回答受付期間:8月7日〜8月17日)
調査方法自治体の担当部署に対するWebアンケート
送付数40自治体
有効回答数12件(回収率30%)
回答形式匿名回答
調査の概要

この調査は40自治体に送付し、回答を得られたのは12件であるため、全国の傾向を統計的に代表するものではありません。

本記事では、先行して取り組む自治体の実感を伝える先行事例の記録として扱いますので、読み進める際はこの前提を踏まえていただければと思います。

なお、先ほどの全国データは部活動数や市区町村数を母数とした割合、この調査は自治体単位の進捗段階です。

母数の単位が異なるため、両者を直接比較することはできません。傾向を重ねて読む程度にとどめてください。

回答をいただいた自治体の内訳は、次のとおりでした。

区分内訳
所在地千葉県4件、大阪府3件、北海道2件、石川県1件、東京都1件、三重県1件(6都道府県)
人口規模50万人以上2件、30万〜50万人未満3件、10万〜30万人未満4件、5万〜10万人未満1件、1万〜5万人未満1件、1万人未満1件
回答自治体の内訳

休日は「一部実施」が中心、今年度末に前進を見込むのは2件

まず、休日の部活動の地域展開(地域移行)について、現在の進捗状況と今年度終了時点での見込みを並べました。

進捗状況現在今年度終了時点の見込み
全面的に実施1件3件
半数以上の学校・部活動で実施2件1件
一部の学校・部活動で本格実施(全体の半数未満)5件4件
モデル事業として一部で試行中3件3件
検討・準備中(庁内協議・計画策定・関係者調整の段階)1件1件
未着手0件0件
休日の地域展開の進捗状況(n=12)

出典:部活のミライ編集部「部活動の地域展開に関する自治体の実態調査」(2026年8月実施)

12件のうち11件が、モデル事業を含めて何らかの形で休日の地域展開(地域移行)に着手しており、未着手と答えた自治体はありませんでした。

最も多いのは「一部の学校・部活動で本格実施(全体の半数未満)」の5件で、モデル事業の段階が3件と続きます。

全体像としては、「動き出してはいるが、まだ全校には届いていない」という層が厚いと読み取れます。

注目したいのは、現在と見込みの差です。

今年度終了時点で進捗が前に進むと答えたのは12件中2件にとどまり、残る10件は現在と同じ段階のままと見込んでいます。

年度内に一段階進むと答えた2件は、いずれも「全面的に実施」への到達を見込む回答でした。

一方でモデル事業や検討・準備中の段階にある4件は、年度内の段階変更を見込んでいません。

改革実行期間が6年間あることからも、初年度に一気に完了させる想定ではなく、複数年をかけて段階を上げていく計画を立てている自治体が多いことがうかがえます。

平日は12件中5件が未着手、進むのは1件

続いて、平日の部活動の地域展開(地域移行)です。

進捗状況現在今年度終了時点の見込み
一部の学校・部活動で本格実施(全体の半数未満)3件4件
検討・準備中(庁内協議・計画策定・関係者調整の段階)4件3件
未着手(休日の地域展開の完了後に着手する予定)2件1件
未着手(着手時期は未定)3件4件
半数以上の学校・部活動で実施/全面的に実施0件0件
平日の地域展開の進捗状況(n=12)

出典:部活のミライ編集部「部活動の地域展開に関する自治体の実態調査」(2026年8月実施)

平日については、「半数以上」「全面的に実施」と答えた自治体が現在も見込みも0件で、最も進んでいる回答が「一部の学校・部活動で本格実施」の3件でした。

一方、未着手は5件を占めます。

未着手5件の内訳は、「休日の地域展開の完了後に着手する予定」が2件、「着手時期は未定」が3件でした。

今年度終了時点の見込みではこの比率が1件と4件に変わります。

1件の自治体が「休日の完了後に着手する予定」から「着手時期は未定」へと回答を変えていることからも、平日の見通しを立てにくい実情がうかがえます。

平日で前進を見込むのは1件で、現在の「検討・準備中」から年度内に「一部の学校・部活動で本格実施」へ移ると回答しています。

なお、休日と平日では設問の選択肢が異なります。

休日は「検討・準備中」を除く11件が何らかの実施段階にあるのに対し、平日で実施段階にあるのは「一部の学校・部活動で本格実施」の3件です。

このギャップが、現時点での平日の位置づけを表しているといえるでしょう。

ここから読み取れるのは、多くの自治体が休日と平日を同時並行では進めていないという点です。

まず休日の体制を固め、その運用を確かめてから平日に広げる。この順序が、現実的な進め方として共有されつつあるように見えます。

あなたの自治体は、いまどの段階か

調査結果を自組織の物差しとして使えるよう、段階別に次の一手を整理しました。

いまの段階(休日)次に効くこと
検討・準備中推進計画等の策定と、庁内(教育・スポーツ・財政)の連携体制づくり。国は前期の間に確実に休日の地域展開に着手することを求めています
モデル事業として試行中試行結果をもとにした運営団体の選定基準づくりと、受益者負担の水準の仮置き
一部の学校・部活動で本格実施認定制度の要件整備。既存クラブが7要件のどこを満たすかの棚卸しから始められます
半数以上/全面的に実施大会参加・競技団体登録の調整と、平日に向けた課題整理
段階別・次の一手

SECTION 04【独自調査】選択肢に収まらなかった4つのつまずき

この調査で最も示唆に富んだのは、自由記述でした。

回答自治体の1つは「先行して実施している自治体の成功事例と反省事例を、様々な視点で聞きたい」と記しています。成功事例は公表されやすい一方、うまくいかなかった過程は表に出にくいものです。

ここでは、選択式の設問には収まらなかった課題を、そのまま紹介します。

つまずき1:大会・競技団体の制度が追いついていない

複数の自治体が、大会参加や競技団体の登録制度をめぐる課題を挙げました。

人口50万人以上の自治体からは、既存の部活動を地域クラブに置き換える方針のもとで、大会運営をどう実施するかが大きな課題だという声が寄せられています。

行政主導型の地域クラブによる大会参加を達成した自治体からは、より具体的な経緯が記されていました。

小中学校の体育連盟も各種目の協会も、規定や書類、クラブ登録、選手登録、指導者資格、ユニフォーム規定に差異があり、制度の把握に苦労したといいます。

規定どおりに手続きを進めても、その都度審議になる場面が非常に多かったとのことです。

それでもこの自治体は、スポーツ庁の理念に沿った地域クラブの設立を目指して取り組んできたと述べ、今後も課題に向き合っていく姿勢を示しています。

受け皿となるクラブをつくることと、そのクラブが公式戦に出られる状態をつくることは別の作業です。計画を立てる段階で、競技団体・中体連との調整期間をあらかじめ工程に織り込んでおくことをおすすめします。

つまずき2:教員の兼職兼業と、現場の折り合い

人口10万〜30万人未満の自治体からは、指導を続けたい教員との折り合いが難しいという記述がありました。

教員の理解を得ながら兼職兼業の整備も進める必要があると感じており、認定制度の検討にあたっては受け皿不足や持続可能な運営体制の構築も課題だと述べています。

地域展開(地域移行)は教員から指導を取り上げる取組ではありません。指導を続けたい教員が地域クラブで活動できる制度設計が、現場の納得感を左右します。

認定地域クラブ活動には、従事を希望する教師等の兼職兼業を積極的に許可することが求められております。

つまずき3:移動、備品、責任の所在

人口10万〜30万人未満の別の自治体は、移動支援の問題と、学校の備品の管理・責任のすみわけを挙げました。どちらも制度の骨格ではなく、日々の運用で必ず発生する論点です。

方針が固まったあとに現場が止まる原因になりやすい部分です。認定要件では、事故等が発生した場合の対応や責任関係を、市区町村等・運営団体・活動場所の管理主体の間であらかじめ明確化することが求められています。

つまずき4:財源の説明と、自治体間の格差

財源に関する記述は3件ありました。

人口10万〜30万人未満の自治体は、持続可能な財源をどのように庁内へ説明し、理解を得るかに苦労していると述べています。

受益者負担についても見通しが難しく、地域クラブ運営にかかわる全体費用の算出が難しいという指摘です。

人口5万〜10万人未満の自治体からは、自治体の財政状況によって運営費の確保などに差があり、自治体ごとの差が出ない仕組みを作ってほしいという要望が寄せられました。

残る1件は「財源の確保」と端的に記すのみでしたが、課題としては共通しています。

財源は、個々の自治体の努力だけでは解決しきれない側面を持つ課題です。運営費の規模感と、国・都道府県による支援の枠組みが、庁内説明の出発点になります。

出典:部活のミライ編集部「部活動の地域展開に関する自治体の実態調査」(2026年8月実施)

※自由記述は回答の趣旨を保ちつつ、文意を損なわない範囲で表記を整えています。回答自治体が特定されないよう、所在地は記載していません。

SECTION 05重要施策「地域クラブ活動認定制度」

令和8年度からの改革実行期間において、自治体担当者が確認すべき重要施策の一つが「地域クラブ活動認定制度」の本格化です。

これは、国が示す認定要件に基づき、市区町村等が地域でのスポーツ・文化芸術活動を審査・認定する仕組みです。

自治体には単なる地域展開(地域移行)の受け皿づくりだけでなく、活動の質の保証という新たな役割が明確に求められるようになりました。

認定制度が導入された背景

本制度が導入された主な趣旨は、従来の学校部活動が持つ教育的意義を継承・発展させることです。民間スクールや競技力向上のみのチームと明確に区別し、子供たちの安全・安心な活動環境を担保します。

市区町村等から認定を受けた活動は「認定地域クラブ活動」と称され、公的な支援や地域からの信頼を得るうえで重要な位置づけとなります。

7つの認定要件

自治体が地域クラブを認定するにあたっては、以下の7つの要件を満たしているかを具体的に確認する必要があります。

担当者の着手ポイントとして、まずは地域で活動する既存クラブが以下7要件のうちどこを満たし、どこに課題があるかを棚卸しすることから始めると、認定支援の優先順位が見えてきます。

  • 教育的意義の継承と機会保障 — 選抜等を行わず、参加を希望する生徒を幅広く受け入れ、身近な地域で豊かな活動機会を提供していること。競技力強化の観点から広域で生徒を集めることは認められていません。
  • 適切な活動時間・休養日の設定 — 週2日以上の休養日を設け、活動時間は平日1日2時間程度以内、休日1日3時間程度以内、かつ週当たり11時間程度の範囲内とすること。当面は平日に学校部活動、休日のみ地域クラブ活動という形をとる場合、休日の活動に少なくとも1日以上の休養日を設けます。
  • 低廉な参加費等の設定 — 活動の維持・運営に必要な範囲内で、可能な限り低廉な金額を設定していること。
  • 適切な指導体制の確保 — 暴力・暴言・ハラスメント等の不適切行為を徹底して防止し、市区町村等の定める研修を受講・登録された指導者を配置していること。また、原則として複数の指導人材が携わる体制であること。
  • 適切な安全確保体制の構築 — 生徒の健康状態や暑さ指数(WBGT)等の環境に配慮し、保険への加入や緊急時の連絡体制を整備すること。事故等が発生した場合の対応や責任関係を、関係者間であらかじめ明確化しておくことも含まれます。
  • 適切な運営体制の確保 — 規約の作成・公表、公正な会計処理を行い、営利を主目的とせずに運営されていること。
  • 学校等との適切な連携 — 生徒の活動状況やスケジュールを、在籍する中学校等と適切に情報共有していること。

参加費の目安について、国は「休日に週1日・月4日程度の活動を実施する場合、月額1,000円〜3,000円程度」を参加費のイメージとして示しています。

ただしこれはあくまでイメージであり、地域の実情や実施回数、競技種目等の特性を踏まえ、月額数百円程度から月額4,000円程度まで、多様な設定があり得るとされています。

出典:スポーツ庁・文化庁「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」別冊資料①・別紙1(令和7年12月)/同「部活動の地域展開における地域クラブ活動の創設・運営ガイドブック」(令和8年3月)

認定によって得られる4つの効果

ここが、庁内や議会で「なぜ認定制度に取り組むのか」を説明する際の根拠になります。国は、認定地域クラブ活動に対して次の取組を促進するとしています。

  • 生徒・保護者等への情報提供 — 市区町村等が学校と連携し、小学校高学年時の体験会や中学校入学時のオリエンテーション、アプリによる活動状況の提供などを行う
  • 運営等への公的支援 — 受益者負担と公的負担のバランスを踏まえた財政支援(経済的困窮世帯の生徒への支援を含む)、学校施設や公共スポーツ施設の優先利用・使用料の減免、学校備品等の活用
  • 教師等の兼職兼業 — 地域クラブ活動への従事を希望する教師等の兼職兼業を積極的に許可
  • 大会・コンクールへの円滑な参加 — 中学校体育連盟の主催大会等への円滑な参加(必要に応じた大会参加規程の見直しを含む)、大会開催地までの交通費・宿泊費の支援やスクールバスの活用

先ほどの自由記述で挙がった「大会参加」「教員の兼職兼業」「備品と責任」のつまずきは、いずれもこの4つの効果と対応しています。

認定制度は審査の手間が増える仕組みに見えますが、現場で起きている詰まりを解く手立てでもあります。

令和8年度末までの経過措置

要件をすぐにクリアすることが難しい団体に対しては、柔軟な経過措置が用意されています。

とくに要件④「適切な指導の実施体制」と要件⑥「適切な運営体制」については、所定の要件を満たすまでに一定の期間を要すると考えられることから、市区町村等が適切な指導助言を行うことを前提に、原則として令和8年度末までは認定を受けたものとみなすことが可能とされています。

試行的な実施などの特別な事情がある場合は、改革実行期間の前期が終了する令和10年度末まで延長できます。

要件を満たさない団体を一律に排除するのではなく、適切な指導・助言を行いながら地域の活動の質を段階的に高めていくアプローチが有効といえます。

まだ認定制度に着手していない自治体にとっては、この経過措置が実質的な猶予期間になります。

【独自調査】認定制度への対応は「検討段階」が中心

7つの認定要件が示されたことで自治体には審査・認定の実務が発生しますが、現場の対応はどこまで進んでいるのでしょうか。

認定制度への対応状況件数
すでに地域クラブを認定した実績がある2件
認定要件の整備に着手している2件
基本方針・実施計画の検討段階5件
まだ検討していない3件
認定制度への対応状況(n=12)

出典:部活のミライ編集部「部活動の地域展開に関する自治体の実態調査」(2026年8月実施)

認定の実績がある自治体は12件中2件で、要件の整備に着手している2件を加えても、実務に踏み込んでいるのは4件にとどまります。

最も多いのは「基本方針・実施計画の検討段階」の5件で、まだ検討に入っていない自治体も3件ありました。

興味深いのは、活動の進捗と認定制度への対応が必ずしも連動していない点です。

休日の地域展開(地域移行)を「全面的に実施」と答えた自治体のなかにも、認定制度は「まだ検討していない」と回答したケースがありました。

活動の受け皿づくりと、その受け皿を制度として認定する作業は、別の工程として進むということでしょう。

裏を返せば、認定制度への対応はこれからの自治体が多数を占めます。先行して要件整備に着手すれば、庁内でも他自治体との比較でも、説明の材料を早く手にできると考えられます。

認定要件のより詳しい内容や、自治体が審査時に確認すべき実務上のチェックポイントについては、以下の記事で解説しています。

SECTION 06共通課題1:指導者の確保と人材バンクの広域活用

編集部の調査では、「現在もっとも大きな課題」を1つだけ選んでもらいました。

もっとも大きな課題件数
持続可能な財源の確保5件
指導者の確保4件
保護者・地域の理解1件
庁内(教育・スポーツ・財政)の連携体制の不足1件
受け皿となる地域クラブの不足1件
現在もっとも大きな課題(n=12)

出典:部活のミライ編集部「部活動の地域展開に関する自治体の実態調査」(2026年8月実施)

「持続可能な財源の確保」と「指導者の確保」の2つで12件中9件を占めました。複数ある課題のなかから1つに絞ってもらった結果としては、かなり偏りの大きい分布です。

まず、指導者の確保から見ていきます。

地域クラブ活動の安全性を担保しつつ、多様な受け皿を整備するためには、質の高い指導者を十分な人数確保することが不可欠です。

しかし、単一の市町村内だけでは人材に限りがあります。そのため、都道府県単位での広域的な人材バンク運用や、大学・民間企業との連携による人材の最適配置が進められています。

千葉県の広域人材バンク「ちばクラサポ」

県が設置・運営する指導者人材バンクです。誰もが登録できるフォームを開設し、各教育事務所にコーディネーターを配置することで、広域的な支援体制を整えました。

登録要件を簡略化して参入しやすい環境をつくり、まずは登録者数の拡大を優先する方針をとっています。

令和7年7月時点で1,383名が登録しており、20代から60代以上まで幅広い年齢層が集まっています。令和7年5月時点では80人が実際のマッチングに至り、各地域の指導者不足の解消に寄与しています。

出典:スポーツ庁「令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)事例集」

福岡県のアスリート人材活用

県主導で、体育・スポーツ系学部の大学生や大学運動部所属者、企業所属の社会人アスリート等を組織的に活用する体制を整備しました。

そのために「福岡県アスリート人材活用コンソーシアム」を設立し、福岡大学の一般社団法人FUスポーツコミュニティが事務局を担っています。4大学、4企業、トップスポーツチーム6団体が参画し、指導者養成研修会を通じて大学生102人、社会人4人の指導者を育成しました。

大学で教職課程を履修する学生にとっても貴重な指導実践の場となっており、双方にとって利点のある仕組みを構築しています。

出典:スポーツ庁「令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)事例集」

SECTION 07共通課題2:持続可能な財源と受益者負担のバランス

運営費の規模感を押さえる

財源を庁内で議論する前に、地域クラブ活動の運営にいくらかかるのかを把握しておく必要があります。

休日の運動部活動を既存の総合型地域スポーツクラブへ移行した長崎県長与町では、次のような見通しが示されています。

地域クラブ活動の運営には年間2,000万円以上の費用がかかり、現在の月会費3,000円だけでは持続的な運営は難しい。

同町では、令和9年度に休日の部活動の地域クラブ活動への移行を完全実施するため、2,000万円を超える予算を見込んでいます。

月会費3,000円という水準は、国が示すイメージの上限にあたります。その水準を設定してなお、受益者負担だけでは運営費を賄えないということです。

町の財源確保に加え、企業協賛やふるさと納税等による寄附、国や県の支援など、支え合う仕組みが必要だと同町は整理しています。

この構造を最初に共有しておくと、財政部局との議論が「会費をいくらにするか」だけに閉じずに済みます。

出典:スポーツ庁「令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)事例集」

国・都道府県による支援の枠組み

財源は自治体の自助努力だけで解決する課題ではありません。国は、費用負担のあり方について次の方針を示しています。

  • 地域の実情等に応じて安定的・継続的に取組が進められるよう、受益者負担と公的負担のバランス等を検討する
  • 公的負担については国・都道府県・市区町村で支え合うことが重要であり、国において受益者負担の目安等を示す
  • 経済的困窮世帯の生徒への支援は確実に措置する。部活動指導員の配置についても一定の範囲で支援する

また、都道府県には、市区町村における認定制度の整備・運用が円滑に進むよう必要な指導助言を行うことや、広域連携が必要な場合に市区町村同士の協議の場を設けることが求められています。

「自治体ごとの差が出ない仕組みを作ってほしい」という調査回答にあった要望は、この枠組みの実効性にかかっているといえます。

出典:スポーツ庁・文化庁「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」(令和7年12月)

茨城県守谷市のクラウドファンディング

公的支出を抑えつつ地域クラブ活動の運営費や備品購入費を確保するため、ふるさと納税型クラウドファンディングを実施しています。

寄附が集中しやすい時期に合わせ、令和6年度は10月3日から12月31日にかけて実施しました。その結果、目標金額500万円に対して10,094,500円を集め、達成率は202%に達しています。支援者は439人でした。

前年度の令和5年度は5,691,000円(達成率114%)だったことから、実施時期の調整が効いたことがうかがえます。

集まった寄附金は基金へ積み立てられ、地域クラブ活動の用具購入や指導者研修費用等に充てられています。

ただし同市は、クラウドファンディングで集まる金額は地域クラブ活動の全体経費の10%程度であり、企業版ふるさと納税やその他の財源確保策を並行して検討する必要があると整理しています。

出典:スポーツ庁「令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)事例集」

長崎県長与町の企業版ふるさと納税と企業協賛

既存の総合型地域スポーツクラブへ委託運営を進める中で、企業との連携協定を締結し、複数の民間資金を組み合わせています。

三井住友海上火災保険株式会社からは企業版ふるさと納税として200万円、株式会社Sports&Worksからは10万円の寄附を受けています。

また、町内の企業からも、地域クラブ活動への支援として毎年30万円の寄附を受けています。地域の実情に応じて民間企業の地域貢献ニーズを財源に結びつけた一つのアプローチとして参考になります。

受益者負担への理解促進については、月会費3,000円の導入当初、「なぜ学校活動にお金が必要なのか」という保護者からの反発が見られました。

そこで、活動や指導の実態をYouTubeなどの動画で可視化するとともに、会費の具体的な使途を丁寧に説明し続けたことで、1年が経過する頃には保護者の理解が深まり、会費が高いという意見はほとんど見られなくなりました。

また、従来の部活動で保護者会が担っていた役員の仕事を運営団体が引き受けたことで、保護者自身の負担が軽減されたという声も出ています。

費用の負担が増える一方で手間は減るという実質的な変化を丁寧に伝えることも、地域全体の理解を深める上で有効な取組といえます。

なお同町では、経済的な事情がある世帯に対して月会費2,000円の支援(地域スポーツ活動サポート基金)を行っています。

出典:スポーツ庁「令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)事例集」

【独自調査】受益者負担は12件中11件が導入の方向

財源の話は保護者が支払う会費の設計と切り離せないため、受益者負担の導入状況について尋ねました。

受益者負担の状況件数
すでに導入・導入が確定している6件
導入を予定・検討中5件
未定・わからない1件
受益者負担の状況(n=12)
保護者が毎月支払う会費の目安件数
1,000〜3,000円未満5件
3,000〜5,000円未満3件
未定3件
無回答1件
保護者が毎月支払う会費の目安(n=12)

出典:部活のミライ編集部「部活動の地域展開に関する自治体の実態調査」(2026年8月実施)

導入済みまたは導入を確定している自治体が6件、検討中が5件で、合わせて11件が受益者負担を前提に設計を進めていました。

無償のまま続ける想定を示した自治体は、この12件のなかにはありません。金額を答えた8件のうち5件が「1,000〜3,000円未満」を選んでおり、国が示すイメージの中心に重なる水準です。

「3,000〜5,000円未満」と答えた3件も、月額4,000円程度までは多様な設定があり得るという国の整理の範囲に収まります。運営費の規模感を踏まえれば、むしろ実費に近づける判断ともいえるでしょう。

一方、受益者負担そのものは導入方向としながら、金額は「未定」という回答も3件ありました。

低廉な参加費という要件と、運営に必要な実費。この2つをどう両立させるかが、多くの自治体でまだ解ききれていない論点なのでしょう。

認定制度を満たす地域クラブをどのように育成し、委託先として選定するかについては、以下の記事で詳しく解説しています。

SECTION 08まとめ:他自治体との比較を超え、地域に適した持続可能な形へ

令和8年度、部活動の地域展開(地域移行)は「改革実行期間」として本格始動しました。

休日は令和7年度の実績で約29%、今年度は約40%に達する見通しです。一方の平日は令和7年度の実績で約16%、今年度でも約21%にとどまります。編集部の調査に答えた12自治体でも、休日は11件が着手済みである一方、平日は5件が未着手でした。

全国の平均値や進捗の遅れに、過度な焦りを感じる必要はありません。大切なのは、地域の資源を見極めて持続可能な仕組みを作ることです。

スポーツ、教育、財政部門が一体となった推進体制の構築が、安定的な仕組みづくりの基盤となります。地域の資源と課題を踏まえながら、着実に進めていくことが重要です。

参考資料
  1. 部活動の地域展開における地域クラブ活動の創設・運営ガイドブック(スポーツ庁, 2026.03
  2. 部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン(スポーツ庁, 2025.12
  3. 「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議」最終とりまとめ(文部科学省
  4. 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)事例集(スポーツ庁
  5. 部活動改革の取組状況に関する調査(令和8年度)(スポーツ庁, 2026.08

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